FIELD NOTES / v0.1.0
光の屈折
光がある媒質から別の媒質へ斜めに入ると、境界面で進行方向が変わる。これが屈折である。新しい方向はスネルの法則 n₁ sin θ₁ = n₂ sin θ₂ で決まる。ここで θ₁ は入射角、θ₂ は屈折角で、どちらも法線から測り、n₁、n₂ は 2 つの媒質の屈折率である。この式からすぐに 3 つの場合が読み取れる。垂直入射(θ₁ = 0)では sin θ₁ = 0 なので θ₂ = 0 となり光は曲がらない。2 つの屈折率が等しいときは θ₂ = θ₁ で向きは変わらない。n₁ > n₂ のときは臨界角 sin θc = n₂/n₁ が存在し、入射角がそれを超えると方程式は実数解を持たなくなり、屈折光は消えて全反射が起こる。この実験は光線の向きだけを扱い、反射光と屈折光の強度配分は計算しない。
問い
光が空気からガラスへ斜めに入るとき、なぜ境界面で曲がり、しかも必ず法線に近づくのか?
入射角を大きくすると屈折角も大きくなるが、両者は比例しているのか?
光がガラスから空気へ進むとき、入射角がある値を超えると屈折光が見えなくなるのはなぜ?
予想
まだ何も動かさない。n₁ = 1.00(空気)、n₂ = 1.50(ガラス)として予想しよう。入射角を 0° から 60° まで大きくすると、屈折角は入射角より大きいか小さいか。入射角を 2 倍にすると屈折角も 2 倍になるか。予想を書いてから実験と比べよう。
操作
n₁ = 1.00、n₂ = 1.50 のまま θ₁ = 0°、30°、60°、89° と変え、そのつど屈折角 θ₂ を記録し、sin θ₁ と sin θ₂ の値にも注目する。次に n₁ = 1.50、n₂ = 1.00 にして θ₁ を 0° からゆっくり大きくし、屈折光がちょうど消える(θ₂ が 90° に近づく)位置を探す。そのときの入射角が臨界角である。
観察
θ₁ = 0° では θ₂ = 0° で、光は法線に沿って進み曲がらない。n₂ > n₁(空気からガラス)では屈折角は入射角より小さく、光は法線に近づく。θ₁ を大きくすると θ₂ も大きくなるが、増え方は同じではない。n₁ = n₂ では θ₂ = θ₁ で向きは変わらない。n₁ > n₂(ガラスから空気)では屈折角は入射角より大きく、光は法線から遠ざかる。臨界角の近くでは θ₂ が急に 90° に近づき、それを超えると屈折光は消えて反射光だけが残る。これが全反射である。
解説
法則の形
スネルの法則は n₁ sin θ₁ = n₂ sin θ₂ である。両側で「屈折率と正弦の積」が等しいという意味であり、2 つの角そのものが等しいとか比例するという意味ではない。正弦の間では式は線形だが、角と正弦は比例しないので、入射角を 2 倍にしても屈折角は 2 倍にならない。
垂直入射で曲がらない理由
θ₁ = 0 では sin θ₁ = 0、したがって sin θ₂ = 0 で θ₂ = 0 となる。波面で考えると、垂直入射では波面全体が同時に境界面へ達するため、媒質による伝わる速さの違いが波面を傾けることができず、向きは変わらない。
臨界角と全反射
n₁ > n₂ のとき sin θ₂ = (n₁/n₂) sin θ₁ である。θ₁ を大きくすると右辺はやがて 1 に達する。そのときの入射角が sin θc = n₂/n₁ を満たす臨界角である。θ₁ が θc を超えると右辺は 1 より大きくなり、条件を満たす屈折角は存在しない。屈折光はなくなり、入射光はすべて媒質 1 へ戻る。これが全反射である。n₁ ≤ n₂ のとき右辺は 1 を超えないので、臨界角は存在しない。
確かめ
n₁ = 1.00、n₂ = 1.50 とする。θ₁ = 30° では sin θ₂ = sin 30°/1.5 = 0.3333 で θ₂ ≈ 19.5°。θ₁ = 60° では sin θ₂ = sin 60°/1.5 ≈ 0.5774 で θ₂ ≈ 35.3°。n₁ = 1.50、n₂ = 1.00 では sin θc = 1/1.5 = 0.6667 で θc ≈ 41.8°。θ₁ = 41° では sin θ₂ = 1.5 × sin 41° ≈ 0.9841 で θ₂ ≈ 79.8°。θ₁ = 45° では 1.5 × sin 45° ≈ 1.061 > 1 となり解がなく、全反射が起こる。どの場合も n₁ sin θ₁ と n₂ sin θ₂ が等しいことを確かめよう。
発展
屈折はレンズ結像の基礎である。凸レンズは境界面の両側で屈折率が異なることを利用し、光線を屈折させて集めたり広げたりする。関連する内容は薄レンズと像にある。屈折率を n = c/v と書けば、2 つの媒質で伝わる速さが違うために光が「曲がる」と理解できる。さらにフレネルの式を調べると、この実験では扱っていないエネルギーの配分について知ることができる。
学習目標
- スネルの法則 n₁ sin θ₁ = n₂ sin θ₂ で屈折角を求める
- 垂直入射(θ₁ = 0)で光が曲がらない理由を説明する
- n₁ > n₂ のとき sin θc = n₂/n₁ から臨界角を求め、それを超える全反射を判定する
出典と参考資料
- OpenStax · The Law of Reflection ↗
- OpenStax · The Law of Refraction ↗
- OpenStax · Total Internal Reflection ↗
試作版 · 独立した教育内容のレビューは未実施